プラスチック射出成形の完全ガイド

射出成形とは?工程・金型・費用・FAQを徹底解説!

プラスチック射出成形(インジェクションモールディング)は、自動車部品から日用品、医療機器、アウトドア用品まで、幅広く使われている高効率な大量生産技術です。本記事では、成形プロセス、金型製作、少量生産の工夫、モールドフロー解析(模流分析)、よくある不良までを網羅的に解説します。

 

射出成形の基本プロセス

プラスチックを加熱・溶融し、金型に注入して冷却・成形する方法です。

  1. DFM(製造性を考慮した設計)

    肉厚や抜き勾配、材料の流れやすさを事前に設計。
  2. モールドフロー解析(模流分析)

    成形前に材料の流動や冷却、変形をシミュレーション。設計ミスを防ぎます。
  3. 金型製作

    P20鋼やアルミ等で金型を加工し、冷却ライン・押出ピン・ゲート等を配置。
  4. T0サンプルと顧客承認

    金型が完成したら、サンプルを採取し、T0サンプルを顧客の承認を得るために提出する必要があります。承認が得られない場合、サンプルが承認されるまで複数回の修正が必要となる場合があります。その後、量産開始となります。
  5. 射出成形(量産)

    射出・冷却・取り出しを繰り返し、数秒単位で生産可能。

 

金型の種類と特徴

金型タイプ 特徴適用シーン
単型(単腔)1回の成形で1個製品を作成小ロット試作
多型(多腔)1回の成形で複数個を同時生産大量生産
ホットランナーランナーレス、省資源中〜高級製品向け

 

少量開発向けの工夫

  1. アルミ金型 を使用し、初期費用を抑える(寿命:1万ショット前後)
  2. インサート交換式金型で複数製品に対応
  3. 共用ベースにより、開発スピードとコストを最適化

 

プラスチック金型の費用について

金型費用は以下により変動:

  • 製品の複雑さ(スライダー、ねじ切り等)
  • キャビティ数
  • 材料の種類(鋼orアルミ)
  • 耐用回数の希望

参考価格帯:約10万円〜100万円以上(日本円)

 

よくある成形不良と対策

不良名主な原因対応策
ショートショット充填不足圧力や温度の調整
バリ金型の合わせ不良型修理または圧力調整
反り冷却ムラまたは残留応力冷却設計の見直し
焼け空気が抜けずに燃焼反応ベント追加または速度調整

 

よくある質問(FAQ)

Q1: 少量でも射出成形できますか?

はい。アルミ金型や共用型を活用することで、1,000〜5,000個程度の少量生産にも対応可能です。

Q2: 樹脂の指定は可能ですか?

可能です。BASF、デュポンなど指定ブランドや環境対応材(RoHS/REACH)も対応可能。

Q3: 金型製作にはどれくらい時間がかかりますか?

通常は20〜45営業日です。製品の構造により異なります。

Q4: モールドフロー解析は必須ですか?

複雑な製品や大量生産予定の場合は、早期にリスクを回避できるため非常に有効です。

聚鴻は現在、Moldex3Dモールドフロー解析ソフトウェアを活用し、金型設計段階で射出成形による欠陥発生の可能性を事前に予測することで、金型設計の改善、金型試作回数の削減、型開き効率の向上を実現しています。プラスチック射出成形に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

まとめ

プラスチック射出成形は、設計力・金型技術・成形条件のすべてが結びついて初めて「高品質×量産性」が成立します。新規開発から量産立ち上げまで、私たちが全力でサポートします。

3D/2Dデータや実サンプルをご提供いただければ、金型費用や模流解析のご提案を迅速に行います。お気軽にお問い合わせください。

 2020-07-14