プラスチック材料：ABS樹脂

基本紹介

正式名称はアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体（Acrylonitrile Butadiene Styrene, ABS）で、非結晶プラスチック(アモルファス)の一種です。アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの3種類の単量体の化学物質を重合して作られたものです。広く使われている合成樹脂の一つで、多様な産業分野で利用されています。

• アクリロニトリル(Acrylonitrile)：耐油性・耐熱性に優れ、加工しやすく、機械的性質・剛性・電気特性が良好で、ABS樹脂に光沢性を与えます。
• ブタジエン(Butadiene)：優れた靭性および低温衝撃性を持っています。
• スチレン(Styrene)：優れた引張強度、流動性、透明性を備えています。

ABSは三種類の利点を兼ね備えており、三つの化学単量体の配合比率を変えることで、生成されるABS合成樹脂の化学的特性も異なります。用途に応じて、さらに添加剤や充填材（例えばガラス繊維など）を加えることで、さまざまな用途に合わせて柔軟にレシピを調整でき、ABS樹脂にさらに優れた性能を持たせることができます。そのため、製品設計において非常に高い柔軟性があります。

化学式は(C8H8·C4H6·C3H3N)n

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**本記事は学術参考用であり、プラスチック原料の販売サービスは行っておりません。**

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材料特性

1. 乳白色の半透明で、ややワックス感があります。

2. 加工が容易で、高い衝撃性を有します。

3. 表面塗装がしやすく、電気めっきも可能で、密着性に優れています。めっきによって金属のような光沢を持たせることができ、一部金属の代替も可能。比重が軽く、コストも低いです。

4. 低クリープ性と優れた寸法安定性。

5. ABSは水分を吸収しやすい（吸湿性樹脂/Hygroscopic Polymers）ため、成形前に必ず乾燥処理を行い、成形欠陥を防ぐ必要があります。

6. 混合性（溶着性）が非常に良く、多種多様なプラスチック素材と共重合可能です。例：ABS/PC、ABS/PVC、ABS/PA、ABS/PMMAなど

7. 表面にロゴやその他の文字を印刷できます。

性能制限・欠点

1. 耐候性が低い

2. 化学溶剤に弱い（特に芳香族炭化水素、ケトン類、エステル類）

3. 一般グレードのABSは燃えやすく、火源に接すると、火を離しても燃焼が続きます。

生産方法

適用成形方法：射出成形、ブロー成形、真空成形、押出成形、または接着、ローラーコーティング、塗装などの二次加工
カラーマスターバッチや顔料を組み合わせることで、着色されたプラスチック部品を作ることができ、表面には印刷やメッキ処理も可能で、外観のバリエーションを豊富に提供できます。

応用範囲

ABSは電子機器外装や自動車部品などに広く使われており、下記は代表的なABS材料の用途一覧です：
自動車：ダッシュボード、インテリアパネル、ツールハッチ、ホイールカバー、ミラーボックス等
家電：冷蔵庫、ヘアドライヤー、掃除機、事務機器（電話、ファクス、キーボード、プリンター等）
機械装置：食品加工機、芝刈り機等
娯楽用途：レゴブロック、ゴルフカート、ジェットスノーモービル、オーディオ、MP3等
服飾およびアクセサリー：コードストッパー、パンツ用ストッパー、マスク調整用イヤーループストッパー、シューレースストッパー、大衣ボタンなど
建築：ディスプレイケース、パイプ類
その他：文具、航空産業、造船業、安全ヘルメット、バッテリーボックス等にもABSプラスチックが使用されています。